パワーエレクトロニクスとは, 電力用半導体スイッチング素子を利用して電力の変換や制御とそれらの応用を取り扱う技術分野です。 具体的には,電圧や電流の大きさを変えたり,交流電力と直流電力を相互に変換したり, 電力の流れをコントロールするなど, 電気エネルギーが関係するところには,パワーエレクトロニクスの活躍する場所がいくらでもあります。当研究室においては, パワーエレクトロニクスの中でも主に電力変換回路を中心にした研究を行っています。
このようなパワーエレクトロニクスは,家電製品から産業用機器まで, さまざまな分野で深く広く現代社会に入り込んでいる基盤技術となっています。 例えば,部屋の温度や外気の温度に応じて冷暖房能力を調整して省エネルギー化を達成しているエアコンのインバータ, パソコンなどの電子機器に安定な直流電力を供給するためのスイッチング電源, おいしいご飯の炊けるIH(誘導加熱)式炊飯器の高周波磁界発生用のインバータ, 電車やエレベータのモータを効率よくコントロールするインバータなどなど, 身の回りにあるものだけでも数え切れません。
エネルギーや地球環境の問題は,21世紀の人類に課せられた最重要課題の一つであり,
本当の人間的な豊かさを追求しながらこれらの問題の解決を図る必要があります。
一方,人類の全エネルギー消費に対する電気エネルギーの占める割合は年々増加しつつあり, 今後もさらに増加していくことが予想されています。
このことは,エネルギーや地球環境の問題を解決していく上で,
電気エネルギーを効率よく自在に操る技術であるパワーエレクトロニクスへの期待がますます高まることを意味しています。