私たちの研究室では,
電力用半導体スイッチング素子を利用して電力の変換や制御とそれらの応用を取り扱う技術分野であるパワーエレクトロニクスの教育研究を行っています。
パワーエレクトロニクスは,家電品から産業用機器まで,さまざまな分野で深く広く現代社会に入り込んでいる基盤技術となっています。
エネルギーや地球環境の問題は,21世紀の人類に課せられた最重要課題の一つであり,真の人間的な豊かさを追求しながらこれらの問題の解決を図る必要があります。
一方,人類の全エネルギー消費に対する電気エネルギーの占める割合は年々増加しつつあり,今後もさらに増加していくことが予想されています。
このことは,エネルギーや地球環境の問題を解決していく上で,電気エネルギーを自在に操る技術であるパワーエレクトロニクスに対する期待がますます高まることを意味しています。
こうしたパワーエレクトロニクスに対する期待を踏まえて,これからのパワーエレクトロニクスがどうあるべきかを考え,具体的な研究テーマに取り組んでいます。
また,これらの研究活動を通して, 電気エネルギー技術の重要性と社会的使命を自覚し,確実な基礎力に裏打ちされた豊かな創造性を持つ学生を育成し,
次の時代を支えたいと考えています。
以下に,具体的な研究内容の概要を記します。
現在,パワーエレクトロニクス技術はさまざまなところで活躍しています。
しかし,今後,さらにその活躍範囲を広げ,パワーエレクトロニクス技術の恩恵をより広範囲に展開し,
次世代の省エネルギー社会を構築していくためにはパワーエレクトロニクス技術がさらに進化する必要があります。
例えば,大幅な小型化の実現,スイッチングに伴うノイズによる悪影響の完全撲滅,連携や協調を視野に入れた使いやすさの実現などなど,
まだまだ色々な要求があります。 これらを実現していくためには, パワーエレクトロニクスの要素技術に立ち返った検討と同時に,
色々な関連技術の中でパワーエレクトロニクスが置かれている状況を俯瞰することも必要です。
現在取り扱っているテーマとしては, 発生する電磁ノイズや高調波を低減したクリーンな次世代型マルチレベルインバータの開発,
次世代直流給電システム用双方向パワーフローコンバータの開発,マトリックスコンバータを適用した絶縁形双方向AC/DC変換器の研究,
変換器を含めたアプリケーション全体の統合設計の研究などがあります。
ロボット工学やメカトロニクスなどの分野における制御システムでは,
モータは指令電流に比例したトルクを発生する単純な定数として見なされることが一般的です。
しかし,更なる高効率・高性能な制御システムを実現するには,モータドライブの詳細,
電力変換器等まで含めた総合的な制御システム設計が必要となります。また,身の回りにある微弱なエネルギーを回収し,
センサ等に応用するエネルギーハーベスティングの研究も行っております。
現在取り扱っているテーマとしては, モータドライブ・電力変換器の特性を考慮した高効率・高性能な制御システムの研究,
身の回りの振動を電気エネルギーに変換するピエゾ素子を用いたエネルギーハーベスティングの研究などがあります。